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コーヒーの種と品種、精製方法、産地の歴史。一杯の背景にあることを、 できるだけ具体的に書き残していきます。
スターマヤ — 種子で増やせる、初めてのF1ハイブリッド
挿し木でしか増やせなかったF1ハイブリッドが、種子から育てられるようになりました。ベトナムの高原でも、この新しい品種への挑戦が始まっています。

ウェットハル(ギリンバサ)— インドネシアだけが持つ、湿った脱穀
乾ききる前に内果皮を剥がす。高湿度の環境が生んだ独特の工程が、あの土っぽさの正体です。

モスト・ナチュラル — 果汁を還元するという発想
ワイン醸造由来の「モスト」という言葉が、コーヒーの精製に持ち込まれています。まだ標準化されていない領域です。

アナエロビック — 酸素を断ち、発酵を設計する
密閉タンクの中で何が起きているのか。ワイン醸造の発想がコーヒーに持ち込まれた、比較的新しい領域です。

ハニープロセス — 粘液質をどこまで残すか、という調整弁
白・黄・赤・黒。残す粘液質の量と乾燥の速度で、味を段階的に設計できる方法です。

ナチュラル — 実をまるごと乾かす、最も古い方法
水を使わず、太陽と時間に委ねる。うまくいけば濃密な果実感、失敗すれば単なる発酵臭になります。
ウォッシュド — 豆の素性が、そのまま出る
水で洗い、粘液質を落としてから乾かす。もっとも透明度の高い、産地の個性が試される方法です。

精製方法の全体像 — 果実から種子を取り出す、味を決める工程
同じ農園の同じ木から採れた実でも、精製が違えば別の飲みものになります。その分岐点を整理します。
パカマラ — 巨大な豆と、安定しない個性
エルサルバドルで人工交配された、二つの変異の掛け合わせ。品評会で存在感を放ち続けています。
SL28とSL34 — ケニアが生んだ、黒すぐりの酸
一九三〇年代の選抜番号がそのまま品種名になりました。ケニアコーヒー特有の強い酸の正体です。
カトゥアイ — 実が落ちない、風雨に強い実務家
ブラジルの研究機関が二十年以上をかけて育成。派手さはありませんが、生産の現場を支え続けています。
カトゥーラ — ブラジルの畑で見つかった、背の低い革命
偶然の突然変異が、コーヒー畑の密度を一変させました。中南米で最も広く植えられた品種の一つです。
ゲイシャ — 忘れられた種子が、価格の常識を変えるまで
エチオピアの一地域で採取され、防風林として植えられていた木。二〇〇四年、その正体が世界に知られました。
ブルボン — 島の名を持つ、甘さの系統
インド洋の小島に運ばれた苗が、中南米の甘いコーヒーの源流になりました。ティピカと並ぶもう一つの祖先です。
ティピカ — すべての始まりにいる、収量の低い名門
イエメンからジャワ、アムステルダム、そしてカリブ海へ。世界の栽培アラビカの多くがこの一本に遡ります。
リベリカ種とエクセルサ — 世界の一パーセント未満、第三の選択肢
巨大な樹と巨大な実。フィリピンやベトナムで細々と守られてきたこの種が、いま気候変動を背景に見直されています。
カネフォラ種(ロブスタ)— 強さの名を持つ、再評価の途上にある種
コンゴ盆地に生まれ、さび病後の世界を救った種。ベトナムを世界第二の生産国に押し上げた立役者でもあります。
アラビカ種 — 世界の六割を占める、繊細な主役
エチオピアの高地に生まれ、イエメンを経て世界へ。香り高さと引き換えに、あらゆる弱さを抱えた種。
コーヒーの分類 — 種・品種・産地の三段階で考える
アラビカとロブスタ、ゲイシャとティピカ。混同されがちなこれらの言葉は、実は異なる階層に属しています。

フィンで淹れる、ベトナムコーヒーの基本
金属製の小さなフィルターひとつで完結する、ベトナム式ドリップの淹れ方。