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抽出

フィンで淹れる、ベトナムコーヒーの基本

2026-05-20

フィンでのドリップ

フィン(phin)は、ベトナムの家庭と街角のカフェで最も広く使われている抽出器具です。金属製のカップ、その中に入れる粉、上から押さえるフィルター、そして蓋。それだけの構造で完結します。

器具の構造

下から順に、湯を落とす穴の空いた本体、粉を平らに押さえる中蓋(グラビティフィルターまたはスクリューフィルター)、そして保温のための上蓋。本体をグラスやカップの上に直接載せて使います。

ペーパーフィルターを使わないため、コーヒーオイルがそのまま抽出液に落ちます。これが口当たりの厚みを生みます。

基本のレシピ

粉は中挽きよりやや粗め、二十グラム。粗すぎると湯が一気に落ち、細かすぎると詰まって落ちなくなります。フィンは粒度に対して敏感な器具です。

粉を入れたら軽く揺すって表面を平らにし、中蓋を載せます。ここで強く押さえつけないこと。押し込みすぎると抽出が止まります。

まず二十グラムほどの湯を注いで三十秒ほど蒸らします。粉全体が湿り、ガスが抜けるのを待つ工程です。その後、残りの湯を注いで蓋をします。全体で九十から百グラム程度の湯量を目安にしてください。

湯温は九十五度前後。落ちきるまでおよそ四分から五分かかります。

濃度をどう考えるか

フィンで抽出した液は、ドリップコーヒーよりかなり濃く出ます。ベトナムで練乳を加えるカフェ・スア(cà phê sữa)や、氷を入れるカフェ・スア・ダー(cà phê sữa đá)が定番なのは、この濃度が前提にあるからです。

ブラックで飲む場合は湯量を増やすか、抽出後に湯で割ってください。濃さを楽しむ器具なので、無理に薄く淹れようとするより、後から調整するほうがうまくいきます。

ロブスタとの相性

フィンはロブスタと組み合わせて発展してきた器具です。厚みのある口当たり、カカオやナッツの甘さ、しっかりした苦味。これらを受け止めるには、ペーパーを通さないこの構造が適しています。

もちろんアラビカでも淹れられますが、繊細な酸を活かしたいならペーパードリップのほうが向いています。器具と豆の設計思想を合わせると、結果は素直について来ます。

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